写真は単なる記録媒体を超え、自己表現の芸術へと昇華しています。Instagramに代表される写真共有SNSの台頭や、デジタル一眼レフカメラに匹敵する高解像度センサーを搭載したスマートフォンの普及により、誰もが手軽に高品質な写真を撮影し、発信できる時代となりました。
さらに、この写真革命に彩りを添えているのが、洗練された画像加工技術です。かつてはプロのフォトグラファーやデザイナーの専売特許だった高度な編集作業が、今や指先一つで完結します。色調補正やフィルター適用はもちろん、AIを駆使した背景除去や顔認識による美顔補正まで、ユーザーの創造性を解き放つツールが次々と登場しています。
このように写真を撮ることや見ることは、もはや生活の一部になっているといっても過言ではありません。それだけ、さまざまな写真を目にする機会が増えているため、人々の「良い写真を見る目」が肥えてきているとも言えます。
例えば、ECサイトでは、写真1つ変えただけで売上が何倍にもなったという話を聞きますし、写真は、WEBサイトに大きな影響を与えるものであり、その重要性は年々高まってきているように感じます。それは一般的なWEBサイトに限らず、採用サイトでも同じことが言えるでしょう。
そのため、写真や図でメッセージを伝えようとする採用サイトも増えていますし、パソコンだけでなく、スマートフォンから採用サイトを閲覧するユーザーが圧倒的に多くなっており、スマホ対応は必須になっています。
採用サイトの役割を考えると、社内の風景や、社員紹介、仕事の内容など、応募者に対して企業の雰囲気やカルチャーを正しく伝えるために、写真は非常に有効な手段です。自社にマッチした人材に応募してもらうために、採用サイトで魅力的な写真を使うことは欠かせません。
とは言え、どのような写真を、どのように使えばよいでしょうか? 重要なのは、その写真を見た人に、どのような印象を感じてほしいのか、ということです。
採用サイトに掲載しておきたい写真と、使うときの注意点
採用サイトで会社の雰囲気や仕事内容をイメージしてもらうために、以下の素材は用意しておきましょう。
- 役員・社員の紹介写真
- 社内の雰囲気がわかる写真
- オフィスの様子が伝わる写真
- 商品やサービスの写真
では、それぞれどんな点に注意して使えば良いのでしょうか?
役員・社員の紹介写真
人物の写真は、さまざまな用途で使うことができますが、いずれにしても、役員・社員の写真を見てもらうことで、「この人たちと働いてみたい」「こういう雰囲気の会社で働きたい」というように、応募者の心を惹きつけることが大きな目的になります。 社長や役員のプロフィール写真には、その会社のポリシーが反映されます。
ネクタイ着用のIR資料のような写真を使いたい、という会社もあるでしょうし、敢えて役職員の自然な写真を用いることで親しみやすさを伝えるという方法もあります。いずれにしても、重要なのは、見る人にどのような会社だと思ってもらいたいか、です。 例えば、以下のA社、B社の役員紹介ページがあったとします。それぞれ、どんな印象を受けますか?
おそらくA社は誠実、まじめというような印象、B社は明るい、楽しいといった印象を受けるのでしょうか。写真が変わるだけで受ける印象も変わることをご理解いただけたでしょうか?どちらが正しいというわけではありませんが、自社として応募者にどんな印象を持ってもらいたいのか、それを写真で表現するとどうなるのか、ということを考えて掲載するようにしましょう。この観点は採用ブランド力を高めていくためには欠かせない考え方になります。
社内の雰囲気がわかる写真
社内の雰囲気を知ってほしい場合はどのような写真が良いのでしょうか? 修学旅行の記念写真のように、全員整列して撮られた写真よりも、日常の中で生まれる活き活きした表情を切り取った写真の方が良いでしょう。
必ずしも全員が写る必要はありませんし、一枚だけで伝えきろうとはせずに、複数のカットでいろいろな見せ方をした方が有効です。 表情はその場面に合ったものを選択するようにしましょう。普段のワンシーンを切り取って掲載することを心がけましょう。
もちろん、自然な笑顔の写真がメインですが、シリアスなミーティングの場面や、一人で集中して考えている知的な印象を与えたい場合は、キリっとした表情を使うと、全体にメリハリが出て効果的になります。この場合も、あくまで日常の風景を切り取った写真が効果的です。なるべくフラッシュは使用せずに、自然光で撮影した方が臨場感が伝わる写真になるので、ぜひお試しください。
オフィスの様子が伝わる写真
オフィスの写真やみんなで使っているこだわりの道具、エンジニア向けには座り心地のよい機能性チェアを紹介する会社もあります。意外と普段当たり前に使っているものでも、「よく考えると、これはウチのオリジナルかも」と思えるものが見つかるかもしれません。大切なのは応募者が、「こんなオフィスで働きたい」「自分はここで働くことになるんだ」ということを、イメージできることです。「オフィスからの眺め」も実は効果的な素材の1つ。オープンな雰囲気や景色を掲載するのも良いですね。 一方で、充実したオフィスやファシリティがないというスタートアップや中小企業の場合でも、その密度の高さが、社員同士の親密さや立ち上げ感が伝わることがあります。
あまり外形的なものにばかり惹かれる人が入ってくるのは困るでしょうかから、「今まさに事業の立ち上げ中であり、この密度で創業メンバーになってくれる仲間を求めています」というメッセージは強くて有効に機能する場面があります。
なかなか難しいことですが、採用サイトに来訪したユーザーが、あたかも社内見学をしているかのような感覚になれるくらいにビジュアルを取り揃えておけると良いですね。
初心者向け|撮影するときのちょっとしたコツをご紹介
社内の人が撮影するにせよ、プロのカメラマンに依頼するにせよ、意図した写真が撮れないと、伝えたいことが限られてしまいます。数多くの写真から選択できるようにしておいた方が良いでしょう。
撮影前に簡単な撮影ラフを準備しておく。
編集職の経験者ならお分かりかと思いますが、撮影ラフが無いと、撮り忘れやイメージと違うカットしか無いということが起きてしまいます。撮影ラフとは、どんなカットの写真を撮りたいかを簡単な絵にしたものを言います。プロのカメラマンに依頼するのであれば、「こんなカットが欲しい」という説明にも使えますので、ぜひ用意しておきましょう。
いろいろなアングルで撮っておく。
いくら枚数を多く撮影しても、全て似たようなアングルだと、ほぼ使い物にならない写真ということになりかねません。上記で挙げた撮影ラフが準備できない場合は、後からいろいろな選択ができるように、さまざまな角度から撮っておくようにしましょう。
被写体になる人には自然体でいてもらう。
写真を撮ることに慣れていても、撮られることに慣れている人はなかなかいません。「今から撮りますよ」と伝えると表情が硬くなったり、不自然な動きになったりしますので、自然な表情を撮れるように、敢えて何も言わずに自然に撮影していくのがおすすめです。
スマートフォンで撮影しても十分な解像度。
サイトに載せる写真は、デジタル一眼レフのようなプロ仕様のカメラでなくても構いません。最近のスマートフォンのカメラは十分な性能ですし、露出などの加工も手軽にできます。自然なカットをどんどん撮ることを優先してみても良いかもしれませんね。
会社の歴史としてストックしておくことを忘れずに。
撮影して、サイトに掲載した後、残りの写真を含めてきちんと保管していますか?撮影にあたって、わざわざ集まる必要はなく、ことあるごとに社内の写真を撮っておき、ストックしておくと、何年かした後に社史で使うなど、積み上げてきた歴史を振り返ることができる会社の資産になります。