「オヤカク(親確)」を意識した新卒採用の準備とは

「オヤカク(親確)」を意識した新卒採用の準備とは

採用活動をしていると、親が反対しているので内定を辞退する学生や、家族に内緒で転職活動をしていたため、家族の承諾が取れず内定を辞退する中途採用者に出会うことがあります。もちろん「家族の反対で辞退するような候補者は入社しないほうがよい」というスタンスもありえます。それもひとつの考え方です。ただ、今回は採用活動段階から求職者本人に親や家族を納得させて入社してもらうポイントをご紹介いたします。

1.新卒採用で行われている「オヤカク」とは?

新卒の採用現場では親が反対しているという理由で、内定を辞退する学生が増えているため「オヤカク」に力を入れている企業が増えてきています。

オヤカクとは企業の採用担当者が直接、親に内定承諾の確認(親確)を行うことです。
本人が入社を希望していても、親が内定先の企業に不満を持っていると様々なトラブルが起こることがあります。

例えば内定者の親から「倒産の心配はないか」という問い合わせの電話があったり、「親に〇〇について確認して来るように言われた」と言って質問をする内定者がいたり、「親から就職したい企業ランキングに入っていない企業は認められないと言われているので、内定を辞退したい」という学生が現れたりします。

また、入社後も「こんな遅くまで働かせるのか」という電話が入る等、新卒の学生と親との関係は以前と比べて変化してきているようです。

そこで自社がどのような会社なのかをきちんと理解してもらうために、各企業では下記のような対策を行っています。

<オヤカク対策の例>

  • 会社案内(パンフレット・DVD)送付
  • 内々定受諾後に親向けに自社製品と手書きの手紙を送付
  • 父兄の同意書をとる
  • ご挨拶の電話をかける
  • 親向けの企業訪問会を実施し、社長自ら財務諸表を説明
  • 内定式の写真を親向けに送付
  • 内定者懇親会や食事会に親にも出席してもらう
  • 採用ページに「親向け」ページを開設


オヤカクには、親に納得してもらったうえで学生に入社してもらうだけでなく、親に良い会社であることを理解してもらうことで企業側の味方になってもらい、学生が転職を考え始めた時に引き留めてもらう効果を期待して行っている企業もあります。

新卒者の入社3年後の離職率が30%前後であることを考えると、定着率の悪い企業にとっては1つの対策になりますが、企業が必死にオヤカクに取り組んでいると学生や親から「ここは何か問題のある企業なのではないか」と不信感を抱かれることもあるため、注意が必要です。

2. 採用担当者が働きかけるのは親や家族でいいのか?

学生と親の関係が以前と変化をしたからといって、親の説得まで企業の採用担当者が行わなければならないのでしょうか。

2015年卒業マイナビ学生モニターの調査では、公務員や有名企業であれば60%以上の親は賛成しますが、設立間もないベンチャー企業で賛成する親は11%で大手安定型を望む傾向が高いことがわかります。

一方で学生は「社風や雰囲気の良い会社」がトップで、社風や人間関係を重視していることがわかります。

このように、親が希望する「良い会社」と学生が希望する「良い会社」が異なっていることがわかります。

親からすれば安定して利益を上げている企業であれば、経済的に安定するので苦労もしないだろう、という思いがあるかも知れませんが、学生からすれば「人付き合いが苦手だから大企業より、アットホームな会社が良い」と考えたり「ベンチャーでも良いから自由に研究ができる会社に入りたい」という希望もあるでしょう。

この親子間での考えの違いは親子で解決すべき問題です。そもそも、親を説得できないような学生では、入社後の活躍は望めません。それは中途採用者でも同じです。

リストラを言い出せず、公園やネットカフェで時間を潰しながら転職活動をする人もいますが、やっとの思いで内定を取った企業に対して家族の同意が取れないから内定を辞退をしたい、という人では長く勤務してもらうことは難しいでしょう。

つまり、採用担当者が働きかけるのは内定者です。

内定を出した後に内定者が「親(または家族)が反対している」と悩んでいるのであれば下記のことを問いかけてください。

  • 自分の意思はどうなのか
  • なぜ当社に応募したのか
  • 入社後に何がしたいのか
  • 他社でも内定をもらっているのであれば、どちらで働きたいのか
  • 当社に対して不安・不明な点はないか


そして、採用試験でのフィードバックをして
「面接の時のようにしっかりと自分の気持ちをぶつけてみたらいい」
「自分の親を説得できないのにお客様や取引先に当社の製品を購入してもらったり、社内で自分の意見を通すことはできない」
と諭して内定者に親や家族を説得するように諭しましょう。

そのうえで、親や家族が採用担当と話したい、と希望するのであれば面談に応じましょう。

3. 会社説明会や選考会、会社案内、採用HPの見直しも必要

まず、新卒向けの会社説明会では「これからは、あなたの人生です。自分が働きたいと思った会社に入ってください。」と呼びかけましょう。求める人物像によっては「どうしても当社で働きたいという人しか採用しません」と言い切ってもよいでしょう。

選考会(新卒・中途)では「あなたの生き方をおかしい、という人がいたらどうするのか」「あなたの意見が通らない時はどうするのか」と質問をして、自分の意見をしっかり持ち、相手に伝えて納得させることができるのか確認しましょう。

そして、内定者が家族や親に就職先を紹介するツールは企業のホームページや会社案内です。

会社案内は採用専用のパンフレットを作成して会社の雰囲気や、仕事内容について詳しく書いたものを用意しましょう。

毎年の採用人数が少なくパンフレットを用意するのが難しい場合は、採用ホームページをリニューアルして会社の雰囲気や働きやすさ等を感じてもらえるホームページにしましょう。

「採用ホームページをリニューアルするにもお金がかかる」と考えている方、現在は低コストで簡単に採用ホームページをリニューアルすることができます。

親や家族向けだけではなく求職者にも「この会社なら安心して働けそう」と思ってもらえる採用ホームページを制作してみましょう。


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